原子力発電の歴史と世界の動向

原子力発電の始まりは1942年のことで、アメリカのシカゴ大学で人工的な核分裂を起こすことに成功しました。
そもそも原子力発電は原子炉の中でウランを核分裂させ、その時に発生する熱で作られた蒸気でタービンを回し電気を作るという仕組みです。
世界で初めて原子力エネルギーによる発電が行われたのが1951年で、これもアメリカによるものでした。
この新しい発電方法に注目が集まったのは、1953年の国連総会がきっかけです。

平和のための原子力

当時のアメリカ大統領だったアイゼンハワーが、後に「平和のための原子力」と呼ばれる演説を行いました。
第二次世界大戦で日本はアメリカによって原子爆弾が投下され、多くの死傷者が出ました。
その後ソ連も核開発に力を入れ、それに対抗するようにアメリカはさらに脅威となる水素爆弾の開発に着手します。
アメリカとソ連を中心に東西冷戦が続く中で、原子力を戦争の脅威ではなく平和を維持するために利用しようと提案したのが「平和のための原子力」でした。
国際的な原子力機関を創設し、世界で電力が不足した地域を助けるという目的もありました。
これを受けて創設されたのが1953年のIAEAで、原子エネルギーを軍事利用することを防げるように今でも活動しています。

1973年の第一次オイルショック

さらに原子力発電の割合を大きくしたのが、1973年の第一次オイルショックで石油の供給が不安定となり世界中で様々な混乱が生じました。
石油に依存したエネルギー政策の危険性を実感させられる出来事で、各国は原発に対し積極的な姿勢を見せるようになります。
政策が推し進められるつれて、アメリカのペンシルベニアにあるスリーマイル島で原発事故が起こりました。
これが原因でスウェーデンでは脱原発を表明します。
さらにソ連でも1986年にチェルノブイリ原発事故が発生し、スリーマイル島での事故の時よりもヨーロッパ各国に大きな被害が及びました。
イタリアは日本のようにエネルギー資源が乏しいため原発を推進していましたが、この事故をきっかけに国民投票で一定期間は発電所を建設しないことを決めました。
1909年に全期を閉鎖し、今でも原子力には頼らないエネルギー政策を行っています。

世界的に原子力発電離れが見られた

当時は事故が多くの人々にショックを与えたことや石油の供給が安定していたこともあり、世界的に原子力発電離れが見られました。
そのような中で再び開発が積極的になったのが、1990年に入ってからです。
アジア各国が急速に経済成長を遂げたことにより、エネルギー資源の不足が問題となりました。
さらに地球温暖化の問題にも対処する必要があり、高まるエネルギー需要をクリーンな方法で供給する必要が出始めました。
各国は二酸化炭素の排出量を抑えなければならないため、二酸化炭素を発生させない原発の建設が増えました。
クリーンなエネルギーとして高い評価を受ける中で、再び世界は大きなショックを受けることになります。

2011年に日本で発生した福島第一原発事故

2011年に日本で発生した福島第一原発事故で、脱原発を掲げる国も出ました。
現在は悲惨な事故を防ぐために他のクリーンなエネルギーに力を入れる国と、エネルギーの安定供給や地球温暖化対策のためにリスクを抱えながら稼働させる国で分かれています。
アメリカは世界で最も多くの発電所を持っていますが、ほとんどが1980年代に建設されたものです。
スリーマイル島での事故後は、国民が原子力に対し不信感を抱くようになりました。
事業者たちがより安全に稼働させられるように努力した結果、稼働率は事故前よりも良好でアメリカの大切なエネルギー源となっています。
しかし老朽化した発電所は閉鎖しなければコスパが悪いなど、問題がなくなったわけではありません。

イギリスでは現在稼働している15基の中で14基は老朽化が問題

イギリスでも原子力は温室効果ガスを大幅に減らすのに必要なものだと認識しています。
現在稼働している15基の中で14基は老朽化が問題となっており、2030年までには閉鎖される予定でエネルギー不足の危険があります。
政府は重要インフラプロジェクトを通して建設の推進を行っていますが、国内の事業者は衰退しており海外事業者が中心です。
フランスは世界で最も原子力発電が占める割合が大きい国とされ、原子力への依存度が高いといえます。
かつてはエネルギー転換法で2025年までに原発の割合を50%に減らすと表明しましたが、二酸化炭素の排出量が増えてしまうなどの理由から5年~10年ほど先延ばしすることとなりました。
中国では福島第一原発事故で内陸部では建設が凍結されたものの、沿岸部では2011年以降も24基が建設されるなど積極的です。
パキスタンやアルゼンチンに対しては原発の輸出も行っています。

まとめ

一方で脱原発の流れが強いのがドイツで、2022年までに全てが閉鎖される予定です。
2002年から段階的に減らす政策を行っており、代替エネルギーとして再生可能エネルギーを普及させています。
韓国でも脱原発は表明され、エネルギー不足を懸念して60年以上かけて行われるとしました。

 

関連リンク
アトックスの主な事業・サービス内容/強み

最終更新日 2025年5月20日 by aequorea