1.羽子板とは
羽子板とは、元々は宮中の遊びだったのですがこの宮中の遊びに関しても現在のような罰ゲーム的な風習があったと考えられています。
例えば、相手が負けた時に勝った相手に対してお酒を提供すると言った文化が昔から存在していました。
こういった宮中の人達で遊んでいたものが徐々に変わっていて子供が遊べるようになっていったものが現在のような文化です。
最初のうちは、板に関して何らかの願いが込められていたわけでもなく、単なる遊びとして考えられた背景が存在します。
平安時代の初期の時代に宮中で行われていた遊びが起源となったと考えられていることは事実ですが、非常に長い歴史が存在するわけです。
貴族の遊びが一般庶民に広がったのは最近になってからです。
今のような形の遊びになったのは、鎌倉時代あたりだと考えられていて、最初に考えられた時には羽根つきの羽子板ではなかったという説もあります。
実際に、鎌倉時代からこういったものになってからは、室町時代に羽根つき模様の贈り物として送られるようにもなっていき、江戸時代に入ると現在のような形で羽子板にも押絵などが描かれるようになりました。
現在でも板には絵が描かれていますが、こういった絵の文化が生まれたのは近代になってからだということがわかっています。
江戸時代には特に板に書かれる絵に関しては歌舞伎役者などが好まれている傾向にあり、様々な種類があったこともわかっているわけです。
押絵と同時にこの時代に羽根つきを女児に送るという風習も固まっていき、貴族の遊びから一般庶民が嗜む遊びとして進化していったと考えられています。
反対に、男児に対して送られるものとしては破魔矢などが考えられました。
この文化も板と一緒に成長していった背景がありますのでセットにした覚えておくととてもわかりやすいです。
2.お正月に行われる風習も江戸時代に入ってから取り入れられた
現在ではこのような風習はお正月に行われますが、お正月に行われる風習も江戸時代に入ってから取り入れられていきました。
特に初正月に対してこのような風習が取り込まれていたのは1年の最初に健康的にかつ幸せにその女児が生活を送ることができるようにという願いが込められていると考えられています。
>>破魔弓・羽子板の飾り方―いつから飾り、いつまでに片づける?
矢に関してもそうですが邪気を払ってより良い生活を送ることができるようにという願いが込められていることが多いです。
様々な種類の板が現在でも提供されていますが、根本的な意味合いに関してはほとんどが同じようなものです。
また羽根つきに使用されている玉のような部分に関しても意味が存在します。
この玉のような部分に関しては、子供が患わないように願うという意味が込められていて、ここにも女児や男児に対する健康面や幸せに関する思いが込められていることがわかります。
こういった風習は一般庶民に馴染んでから考えられていったものであるため、貴族文化というよりも現在では一般庶民の文化として定着しつつあります。
様々な願いを羽にのせて邪気を払うという意味が存在しますので正月に送ることが良いと考えられているわけです。
初正月という決まりが存在するわけではありませんが、一般的に初正月に送られることが非常に多いです。
家族や親しい友人などが一年を通してより良く健康的に過ごせるように願うと言った文化が日本に存在していたからです。
このような一般庶民の文化と元々の羽子板の文化が融合して現在のような初正月への贈り物として提出して行くことになりました。
もちろん、地域によって考えられる風習や考え方はさらに細分化していきますが、誰かの健康や幸せを願う意味が存在することに変わりはありません。
3.相手の顔に対して墨を塗るという文化について
また羽子板遊びをした時に相手の顔に対して墨を塗るという文化も存在します。
こういった文化にもきちんと意味が存在します。
墨の色、つまり黒い色というのは邪気の対象と考えられていた鬼が嫌う色という文化が過去には存在していました。
ですから、魔除けの意味として黒い色を相手の顔に対しているという風習があったわけです。
羽根つきの意味合いも同じような意味で、たとえ負けてしまったとしてもお互いの健康的な願いが途切れてしまわないように邪気を払うという意味で黒い色を塗り続けたわけです。
実際に、羽子板にはいくつかの種類が提供されていますが、ここに書かれている絵や意味については若干の違いが存在しますが、根本的な意味の違いは存在していたとしてもそこに込められている願いや思いについては大きな違いが存在しません。
板に描かれる内容に関してはかなり自由度の高いものになっていて、デザイン性が非常に高くなっています。
ただ、自由に何を書いても良いというわけではありません。
子どもの健康や今後の生活を願って様々な絵を変えていくことが良いことであると考えられています。
相手に対してプレゼントをしようと考えているときにも、その絵にどのような意味が込められているのかということを考えておくことが大切です。
そうすることによって相手に対して送る方もどのような願いを込めているのかということを伝えやすくなります。
最終更新日 2025年5月20日 by aequorea